0. 植物とは
植物とは、生物を大きく分類したときの、 大きな一群のことである。
下記のような多様な区分で分けられるため、 よく植物認定において
論争が繰り広げられる。
論争が繰り広げられる。
・慣用的生物区分
動物と対比させられた生物区分。
根があって場所が固定されて生きているような生物。
・生体的生物区分
光合成をする生物のこと。多細胞体制のもののみとする場合と、単細胞のものを含める場合がある。
・系統的生物区分
真性生物の中の1つの生物群。陸上植物およびそれらに近縁な生物が含まれる。
ワカメなどの褐藻は系統が異なるため、この区分で植物と認定する場合含まれないことになる。
植物という語が指し示す範囲は歴史的に変わってきており、現在でも定義が並立している。
植物を分類群として認めなかったり、別の名前を採用する動きもある。
1. 現在の植物の定義
かつて植物は、光合成をする生物とされており、藻類(光合成をする水生生物)やシアノバクテリアなどを含んでいた。
さらに光合成能力を失った植物と考えられていた真菌や、シアノバクテリア意外の細菌まで含むこともあった。
人為分類的な「植物」としての分類もあるが、系統が異なるものは除き、単系統群を中心にまとめる。
(光合成を行う藻類であっても褐藻(コンブ・ワカメなど)・珪藻などは系統が異なる。)
現在でも、具体的にどの範囲を植物と呼ぶかは定説が泣く、下記にあげる各範囲が植物界としての候補となる。
陸上植物:コケ植物、シダ植物、種子植物からなる単系統。
古くは後生植物といい、陸上で進化し、高度な多細胞体制を持つ。
この群を植物界とする分類はリン・マーギュリスが唱え、マーギュリスにより改訂された五界説と共に広まった。
しかし、非常に近縁な緑藻植物などが含まれていないため、狭すぎるという点が指摘されている。
ストレプト植物:陸上植物、車軸藻、接合藻からなる単系統。
緑色植物:ストレプト植物と緑藻植物からなる単系統。葉緑体がクロロフィル a/bをもち2重膜である。
「狭義の植物(Plantae sensu stricto)」と言った場合、これを意味することが多い。
アーケプラスチダ:緑色植物、紅色植物、灰色植物からなる、たぶん単系統のグループ。葉緑体が2重膜である。
シアノバクテリアを細胞内に共生させた生物を共通祖先とする単系統群であるという仮説に基づいて、
トーマス・キャバリエ=スミスがこの系統を植物と定義した。
「広義の植物(Plantae sensu lato) と言った場合、これを意味することが多い。
ただし、より広義の意味と対比させ、「狭義の植物」と呼ぶこともある。
バイコンタ:アーケプラスチダ、クロマルベオラータ、リザリア、エクスカヴァータからなる単系統。
アーケプラスチダは側系統であり、他のバイコンタはその子孫だが葉緑体を失った、という仮説に基づき、
バイコンタを植物界とみなす説が出ている。(Nozaki et al.2007)
非常に広い定義であり、すべての(真核)藻類お多数の非光合成単細胞生物も含む。
ただし、非主流の系統仮説に基づいていること、範囲が広すぎ実用的でないことから、
あまり受け入れられていない。
このように、いろんな植物学者が「仮説」をもとに自由に定義をしまくった結果この様な定義が定まらない状態が続いている。
そのため、なるべく植物という名を避けて別の名を使う傾向がある。
これは、動物がほぼ常に後生生物の意味で使われ、後生生物という言葉のほうが使われなくなりつつあるのとは
対照的である。
2. 植物学
植物形態学、植物発生学、植物生理学、植物地理学、薬用植物学などの諸分野があり、
対象とする生物ごとに、シダ学、コケ学、藻類学、樹木学などと分けることもある。
薬学、農学、林学、園芸学、草地学との関わりが深い。
分子生物学の発展に伴って、古典的な植物学から進歩したという意味を込めて「植物科学」と呼ぶこともある。